脳梗塞
脳梗塞とは脳の血管が血栓などで詰まり、血流が途絶えることで脳が壊死が起こして様々な障害を発症させる脳卒中の中でも70%を占める脳疾患です。脳梗塞の急増には高齢社会化に加えて危険因子となる生活習慣病が深く関わっています。突然に発症して生活環境をも一変させてしまう脳梗塞に対して予防に勝る治療はありません。もし発症した場合も前兆を察知して早期の治療により後遺症を軽減できる症例も増えています。そのためにも先ずは脳梗塞を正しく理解して万が一に備えた予備知識を身に付けることが大切です。
脳梗塞のタイプ
脳梗塞には血管が詰まる原因によって以下の3つに分類されます。
- ラクナ梗塞
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ラクナ梗塞は日本人に最も多く脳梗塞の40%を占めています。このラクナ梗塞は、脳内部の深い部分を通る穿通枝と呼ばれる細い動脈が詰まって1.5p未満の梗塞が起こるものです。最近の傾向としてラクナ梗塞は減少傾向にあり、欧米と同じくアテローム血栓性脳梗塞や心原性脳梗塞症が増えています。このラクナ梗塞による症状は別名ラクナ症候群といい、他のタイプの脳梗塞とは異なる感覚症状が単独で現れるのが特徴です。
- アテローム血栓性梗塞
- 近年増加傾向にあるアテローム血栓性梗塞は、比較的大きな動脈に起因する脳梗塞です。アテロームとは「粥腫」という意味で、動脈硬化が進行すると動脈壁にマクロファージが集まって血液中の脂肪を取り込みアテロームになります。アテローム血栓性脳梗塞は徐々に進行するため、側副血行路というバイパスができる場合が多く、詰まった動脈の太さの割に病巣は大きくないので脳梗塞と分かるまで時間がかかる場合もあります。
- 心原性脳梗塞症
- 心臓病の増加に伴い急増している「心原性脳梗塞症」は、心臓の中でできた血栓が頸動脈を経由して脳動脈で詰まるので急激に起こるのが特徴です。正常な心臓では血栓はできませんが発症の原因となる心臓病には心房細動・洞不全症候群・急性心筋梗塞があります。この心原性脳梗塞症の根本的な原因は心臓病ですが、脳動脈を詰まらせていた血栓が壊れて血流が再開すると病巣内に出血して「出血性脳梗塞」を起こすこともあり、症状が悪化すると命に関わる危険な病気なのです。
脳梗塞の発症データ
脳の血流が途絶えると酸素と血流が届かない部分の機能が停止し脳細胞は壊死に至ります。動脈が詰まった原因・動脈の太さと位置・年齢・発症から病院までの時間など、様々な要因によって治療法や予後が変わってきます。このため厚生労働省は1万7000人の脳梗塞患者のデータを分析した「脳梗塞急性期医療の実態に関する研究」を発表しました。
- 脳梗塞は男性に多い
発症した人の内訳は、男性61.3%・女性38.7% - 男性の方が早く発症する
発症した年齢の平均は、男性68.7歳・女性73.6歳 - 自宅での発症率が高い
発症した場所は、自宅が79%・外出中4.5%・職場4% - 活動時の発症が多い
活動時の発症率は、日中の活動中44%・安静時34%・就寝時13% - 高血圧が大きな原因
危険因子の割合、高血圧61%・糖尿病24%・不整脈21%・喫煙17.5%など
脳梗塞の障害
脳梗塞は障害が起きた部位によって症状も変化します。病巣が小さかったり重要な部分でない場合はそこに障害が起きても気付かないことが多いのです。一方で、小さな梗塞でありながら脳の中枢部分で発症すると大きな障害になります。例えば右の脳障害は左半身の麻痺で左の脳障害は右半身に麻痺症状が現れるのです。これは手足を動かす命令が前頭葉と頭頂葉の境をなす中心溝の前にある運動野に始まって錐体路と呼ばれる伝達路を通って手足に伝えられますが、この錐体路が途中で交差しているために脳の位置と逆に障害が現れるのです。
脳梗塞の発見
現在、小さな脳梗塞の患者は増加傾向にあります。これは検査技術が進んでこれまで発見できなかった小さな脳梗塞まで見つかるようになったからです。例えば40歳代で3人に1人・50歳代で2人に1人・60歳代では8割以上の人に小さな脳梗塞の跡が見つかるという報告もあります。また、現代社会に伴う食事の欧米化によって、以前まで日本人に見られなかった動脈硬化が進んでいることも見逃せない要因でしょう。脳卒中の7割を占める脳梗塞の患者数は1990年ごろから横ばい傾向にあるだけに発症する前の正しい予防知識を持つ必要性が問われています。